5月22日(土)、23(日)に
性暴力の実際的対応の専門講座Ⅰを実施しました!
プログラムは、
加害少年の司法手続
性暴力の治療教育への動機づけ
アセスメント
治療教育における保護者の役割と保護者支援
性行動のルールと、真の同意
感想の共有、質疑応答
と、盛りだくさんでした。
写真は、「性行動のルール・プライベートパーツなど」について、
13歳くらいまでのこどもたちに教える、というロールプレイをしているところです。
49名の参加者からは、
・ 性行動のルールや、保護者との面談について、
デモンストレーションを見たり、ロールプレイを経験したことで、
具体的なイメージが持てた。自分の振り返りができたよかった。
・ ロールプレイをして、
説明することの難しさや、
加害者が聞かれたことに答えたくない気持ちなどが味わえた。
・ 動機づけ、アセスメントの知識が整理できてよかった。
改めて、その重要性を知った。
・ 治療プログラムを実施することで、再犯率が低下する効果がある、
とわかった。
これらの具体的な数字を示して、動機づけすることの大切さを知った。
・ 児童相談所、施設、学校など、それぞれの職場で、ここで、
学んだことを活かしたい。職場に合わせて応用しながら実践したい。
など、概ね好評でした。
特に、基礎講座の感想を参考にして、デモを入れたり、その順番を考えたり、
席の移動が多かったのを減らすために、ボードを準備したりと、
いろいろ工夫を凝らしたのですが、そのあたりを評価して下さる方もいて、
そのことも、とってもうれしかったです。
6月の専門講座Ⅱでは、さらに、今回のアンケートを参考にさせていただき、
改良したいと思います。
ところで、私自身も、治療教育の実践については未知の世界であり、
まさにこの講座で学んでいるところです。
私が学んだこと、印象に残ったことについて、
ごく一部ですが、簡単にまとめてみます(私の解釈も入っています)。
★動機づけ、保護者の重要性について
少年(子ども)の治療教育の動機づけの多くは、保護者をいかに動機づけるか、
にかかっている。
間接的被害者である保護者の心情に共感しながらも、適切な情報を伝えて、
治療教育の参加を促し、加害者の”よきモデル”、”よきサポーター”になってもらう。
★アセスメントについて
・高リスクの性加害者と低リスクの性加害者を同じグループにすると
かえって再犯率が高くなる。アセスメントは大変重要である。
・再犯防止につながる、加害者本人のニーズに焦点を当てて、治療教育する。
・加害者本人の特性(年齢、思考・試行の誤りの強度、知的能力、衝動コントロール、
加害行為が止まっているか等)に合わせて、学習スタイルを決める。
・アセスメントは、定期的に、見直し、修正していくことが大切である。
★性暴力への対応の基本的枠組みについて
第1に、被害者の安心、安全を確保する。
第2に、対等な関係を築き、維持できる力を育てる。
(攻撃的でなく、言いなりでなく、自己主張できるようになるなど。)
第3に、再犯率の低下を目標とする。
★性加害の治療教育において、グループは大変有効なので、
基本は、グループがよい(セミクローズドぐらいがよいことが多い)。
グループにおいて、こどもたちに変化への動機づけをするために、
①クイズ、シール、進度表、レベル制、免許証、卒業など、さまざまなツール、
システムを活用する。
②グループリーダーから、メンバーから、保護者から、
”ポジティブなフィードバック”が大切。
③秘密保持された安心・安全な場での、仲間同士の支え合い。
★性加害の治療教育は、コミュニケーションのあり方など、自分や対人関係などについても
広く学んでいくので、教育が終わった時には、性問題だけでなく、他の課題についても
改善、解決されるという効果も、期待できる。
★真の同意といえるための”9つのブロック”。
こどもたちに、真の同意の有無を判断することの難しさを学んでもらうことは大切。
(詳しくは、「回復への道のり・・・パスウェイズ・・・」(誠心書房、藤岡淳子監訳)
10ページあたりをご参照ください。)
★治療者は二重の責任を持つ。
再犯の危険性を最小限にする社会的な責任と、本人のニーズに対する責任。
これは、重い言葉だなと思いました。
全国各地から、休みを利用して講座に参加してくださったみなさま、
本当に、ありがとうございました。 また、6月に会えるのを楽しみにしていま~す!!
(もりもと・しまこ)